記事: 特撰鮫皮おろし|岐阜の職人が語る、道具に宿る想い
特撰鮫皮おろし|岐阜の職人が語る、道具に宿る想い

料理の味は、素材や技術だけで決まるものではありません。
どんな道具を使うかで、料理の手触りや、食卓で過ごす時間の質は大きく変わります。
タシナムが届けたいのは、ただ便利なだけの道具ではなく、使うたびに、少し気持ちが豊かになる道具。
今回は、岐阜県土岐市でタシナムの特撰鮫皮おろしの製作に携わっている職人さんに、家業としての歴史、素材への向き合い方、そして道具に込めている想いを伺いました。
"江戸の薬味おろし"が生む、ふんわりおろし
家業として受け継がれてきた、鮫皮おろしづくり
ーー 鮫皮おろしを作り始めたきっかけと、家業の歴史について教えてください。
岐阜県土岐市の高坂という町で、うちの祖父が昭和20年に家業を創業しました。当時は、陶器のしゃもじやおろし器といった道具を製作していました。
その後、父の代になって、さまざまなおろし器を作る中で、「少し違ったおろし器も作ってみよう」という話が出てきました。
そこから、日本の伝統的な料理道具である鮫皮おろしに挑戦してみることになりました。
父が代表を務めていた頃、僕はまだ大学生でした。
その後、会社に入ってから木工場に修行に行き、社内で内製化し、一貫して制作できる体制を整えるための木工場づくりに動き始めました。
そして4年前に、僕が代表に就任し、今現在に至ります。
素材と向き合うということ ― 鮫皮と黒檀
ーー 鮫皮おろしづくりにおいて、素材と向き合う面白さや難しさはどんなところにありますか?
やっぱり岐阜県は、日本の中心に位置していることもあって、木材がとても手に入りやすい土地なんですよね。
いろんな種類の木材が手に入りますし、木自体も、もともと自然のものです。
それは革も同じで、鮫皮に使われている革も、本当に自然由来の素材です。
木も革も、どちらも一つとして同じものがないので、そういう意味では、やっぱり難しさがあります。
でも、その分、完成した時にイメージ通りに仕上がっていると、
すごく大きな喜びがありますし、ものづくりの楽しさを強く感じますね。
ーー 鮫皮や黒檀といった、希少な素材についてはどのように考えていますか?
昔から黒檀は、仏壇に使われたり、刀の鞘の部分に使われたりと、日本の伝統工芸品に使われてきた木材です。
なおかつ、成長に300年ほどかかることもあるので、本当にゆっくり育つ木なんですよね。
僕個人的には、そういう木だからこそ大事に使っていきたい、という気持ちがあります。
木材としての美しさや重厚感は、他の木材にはない特別なものだと思っています。
なので、黒檀で何かを作る場合は、良いものを、丁寧に作っていきたい、ということは常に大切にしています。
"江戸の薬味おろし"が生む、ふんわりおろし
道具とは何か、そして未来へ
ーー 鮫皮おろしの魅力や特徴は、どんな点にあると思いますか?
今はいろんなものが溢れている中で、鮫皮おろしは、正直ニッチな料理道具だと思っています。
ニッチだからこそ、扱いが大変な部分もありますし、自然の素材なので、経年劣化はどうしても避けられません。
でも、だからこそ愛着が湧くというか、使っていて楽しいと感じてもらえたり、幸福感を感じてもらえたりする部分があると思っています。
そういうところを、昔からある道具ではありますけど、現代の暮らしの中でしっかりと伝えながら、使っていただきたいなと、今は感じています。
ーー 大塚さんにとって「いい道具」とは、どんなものですか?
本当に、性能や利便性といった部分を、重視していた時期もありました。
でも、自分自身がこうしたものづくりに携わるようになって、物に宿る気持ちや、魂のようなものが、とても大事なんじゃないかと感じるようになりました。
そういうものは、自然と大切に使ってもらえますし、使い続ける中で、愛着も湧いてくると思うんです。
僕自身も、作った人が実際に販売しているところに足を運んで、その方と話をしながら買う、ということが好きですし、そうやって選んだものを、ずっと使っていきたいと思っています。
だから、自分がものを作る立場としても、やっぱりそういうものを作っていきたい。
最終的に、そういう想いに共感してくれた方に手に取ってもらって、喜びや楽しさを感じてもらえることが、一番の喜びかなと思います。
ーー 鮫皮おろしの文化を、次世代へどのように継承していきたいと考えていますか?
もう鮫皮おろしを作り始めて、父の代から数えると34年になります。
その34年の間にも、世の中は大きく変わってきましたし、昔と比べると、ライフスタイルもずいぶん変わってきたと感じています。
だからといって、「伝統文化だから大事にしてほしい」とか、そういうことを強く伝えたい気持ちは、正直あまりありません。
その時代、その世代の中で、この鮫皮おろしを使って、自由に楽しんでもらえたら、それだけで十分嬉しいと思っています。
自分たちがやるべきことは、とにかく、いいものをきちんと作ること。
あとは、それをどう使うかは、使い手の皆さんに委ねたい、そんな感覚でいます。
だから今回、タシナムさんから声をかけていただいて、その世代の鮫皮おろしを一緒に作れた、という感覚があったのも、個人的にはとても嬉しい出来事でした。
ーー 鮫皮おろしを通して、どんな価値や体験を届けたいですか?
「昔からある伝統的な料理道具で、これで擦ると美味しいんだよ」
そんなふうに話題になって、食卓にちょっとした花が咲く。
その流れで、美味しいご飯を囲んでもらえる、というのが一番嬉しいですね。
あとは、少しこだわりのある料理道具を使って、自分で料理を作って、一人で食べる時間だったとしても、「ちょっといいものができたな」そんな満足感を感じてもらえる。
そういう瞬間が生まれることも、すごく嬉しいなと思います。
▼インタビュー動画はこちらから
道具は、使われてこそ完成する
鮫皮おろしは、決して派手な道具ではありません。
扱いにくさもあり、手間もかかります。
それでも、使う人の食卓に話題が生まれ、「美味しい」という一言が交わされる。
そんな時間の中でこそ、この道具は完成していくのだと思います。
職人が丁寧に作り、使い手が自分の暮らしの中で育てていく。
鮫皮おろしは、そんな関係性をそっと支える、日本の道具です。
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江戸の薬味おろしが実現する"ふんわりおろし"
「特撰鮫皮おろし -黒檀仕立-」は、
薬味にかつてない美味しさをもたらす逸品です。
「鮫皮おろし」とは「江戸時代」使われていたとされる薬味おろし。
この道具は、ふんわりとした舌触りで、味わい豊かな「極上のおろし」を実現します。