記事: 炊峰土鍋|佐賀・有田の窯元が語る、火を止めても炊き上げる土鍋のつくり
炊峰土鍋|佐賀・有田の窯元が語る、火を止めても炊き上げる土鍋のつくり

「炊峰土鍋(すいほうどなべ)」は、佐賀・有田の窯元で、一つひとつ丁寧に焼き締められる炊飯専用の土鍋です。
タシナムが目指したのは、一番美味しくご飯が炊ける、最高峰の炊飯土鍋。お米本来の甘みと旨みを引き出し、毎日の炊飯を特別な時間へと変えてくれます。
蓄熱性に優れた肉厚構造、吹きこぼれを抑えながら旨みを閉じ込める縦型形状、そしてご飯がこびりつきにくい独自の釉薬など、炊峰土鍋には、美味しいご飯を炊くための工夫が細部まで息づいています。その一つひとつのこだわりについて、製作を手がける窯元にお話を伺いました。
炊峰土鍋を支える素材とつくりのこだわり
ーー タシナムから「最もご飯を美味しく炊ける、炊飯における最高峰の土鍋を作りたい」とご相談があったとき、率直にどう感じられましたか?
さまざまな炊飯土鍋がある中で、「美味しくご飯が炊ける土鍋をつくるには、どんな素材や作り方が理想なのか」を一緒に考えオリジナルの粘土で制作できることは、作り手として光栄なことでした。
最近は、「やはり土鍋で炊いたご飯は美味しい。」と感じてくださる方が増えていて、日常的に土鍋でご飯を炊くお客様も多くなってきているように感じます。

ーー 土鍋づくりにおいて、素材の土や産地にはどんなこだわりがありますか?
うちは佐賀県の有田でやっているんですけど、有田焼の食器イコール丈夫な器、業務用として使っていただける器としてホテルさんや旅館さんに、長年信頼のある有田焼なんですよね。
有田でやる以上は、土鍋も丈夫で美味しく炊けて当たり前だと思っています。洗い場で使った後に、ちょっとぶつけただけでは破損しにくく、火にかけても割れにくく、そのうえで、吸水率もできるだけ低くして、カビなどひきにくい丈夫な土鍋を作りたい。その組み合わせが、結構難しいんですよね。
粘土はいろんな産地から取り寄せた粘土系の粉末とペタライト系、それと砂状のもの数種類に水を練り混ぜ、オリジナルの耐熱陶土を作っています。
粘土を作るときに使う水は、雨が木々の根元を通って自然に集まった水で小さな池を作り、その水を使っているんです。そうすることで、粘土にほどよい粘り感が生まれ、成形しやすい土になります。こだわれるところはとことんこだわっていきたいなと思っています。

炊き上がり・使い心地が"別次元"である理由
ーー 炊峰土鍋は、一般的な土鍋と何が一番違うのでしょうか?
うちの土の特徴として、温度の入りは若干ゆっくりなんですよね。ただ、いったん温度が入ってしまったら、そこから冷める時間がゆっくりなんです。蓄熱しやすい土なんですね。
だから側面に厚みをつけて、ある程度火が入ってしまったら、もう火を消していただいても、ご飯鍋がちゃんと美味しいご飯を仕上げてくれる、そういう厚み構造にしています。
ーー 縦長の形状と、蓋の穴の構造にも工夫がありますよね。

土鍋の形が少し縦型なので、土鍋の中でお米が対流し、通常のご飯土鍋より吹きこぼれしにくいんですよね。
蓋も自分なりに特にこだわったポイントですね。一般的な土鍋では蒸気穴は蓋の端にあることが多いのですが、炊峰土鍋は蓋の頂点に配置しています。さらに、蓋のくぼみを深く大きく設計することで、ご飯を炊いているときにできる旨味を含んだ泡が、一度上まで上がって弾けても鍋の中へ戻る構造にしています。
そうすることで、お米の旨味を外へ逃がさず、再びご飯へと戻せるようにしているんです。
蓋の穴の大きさも、何種類も試してベストな大きさの穴になっています。小さすぎると湯気の勢いが増してしまいますし、逆に大きすぎると湯気が一気に出て、お米と水が対流し、温度が下がってしまうんです。
ーー ごはんがくっつきづらい独自の釉薬についてもおしえてください。
うちのご飯鍋は、ペタライトという材料をふんだんに入れているので、光沢を出そうとしても食べられてしまって、マットになりやすいんです。
でも、光沢があった方が高級感のある佇まいになるので、昔から光沢が出て、破損しにくく、火に強く、なおかつ何十回、何百回調理してもくっつきにくい釉薬をずっと研究してきました。この調合の釉薬は、ほかの土鍋屋さんではなかなか作られていないものなんですよね。

ーー 初めて使う方は、どんな違いを感じると思いますか?
最初はやっぱり「土鍋で炊くのは面倒くさい」というのが、絶対皆さんの頭をよぎると思うんですよね。ただ、1〜2回炊いてみたら「こんなに簡単にできるのか」と感じてもらえると思います。
自分はやっぱり、自分の舌でちゃんと味わって、いろんな銘柄のお米を炊いてみて、というのを大事にしてきた人間なので、最後は実際に食べてみていただくのが一番かなと思っています。

ーー 炊峰土鍋は、焼き方にもかなり時間をかけていると伺いました。
本来土鍋は、およそ10時間から12時間で製品として焼き上がるんです。ただ、そこから昔ながらの窯の焼き方で、少しずつ温度を上げていって、最高で1250°ぐらいで約18時間〜20時間ほど焼成しています。
製品の外側は焼けていても、真っ二つに割ったときに、中心までよく焼けているかどうか。全体を均等に焼くというのが、結構難しいんですよね。長い時間をかけることで、熱の伝わり方も一定になる。だからお米にも熱が均等に入って、一粒ずつ美味しく炊き上がる、ということですね。

ーー ものづくりにおいて、一番大切にしていることは何ですか?
自分の性格が、目に見えてこだわっているというより、目に見えない部分にこだわり続けたいんですよ。だから粘土の調合も、釉薬の配合も、蓋の穴の大きさも、お客様が手に取ったときには気づかれない部分ほど、手を抜かずにこだわりたいと思っています。

ーー 使う方には、どんなふうに炊峰土鍋を使ってほしいですか?
できるだけ、土鍋でご飯を炊いてそれを抱えて、食べるところまで持っていってほしいんですよね。だから、肉厚な分それなりに重さはありますが、いらない部分の厚みはできるだけ削っています。
取っ手も、360度どこからでも持てるようにしています。両サイドに取っ手が2つだと、部屋の広さで向きを変えないと持てないこともあるので。取っ手の穴の部分も、熱くなりにくいように、ご飯を炊くことへのこだわりと同じくらい、お客様が事故なく、気持ちよく使えることも考えたかったんです。
これから日本の方だけでなく、海外の方にも使っていただけたら嬉しいなと思っています。

〜編集後記〜
ご飯を炊く時間を、楽しみに変える。土鍋ならではの重さもあり、最初は「面倒そう」という先入観を持つ方もいるかもしれません。
それでも、一度炊いてみると、湯気とともに立ちのぼる香りや、ふっくらと炊き上がったご飯のおいしさに、きっと毎日感動するはずです。
火を止めても炊き上げる蓄熱性を生む厚み。旨味を閉じ込め、ご飯へと戻す蒸気穴の構造。何百回炊いてもこびりつきにくい独自の釉薬。その一つひとつに、目には見えない部分まで妥協しない職人のこだわりが息づいています。
職人が一台ずつ丁寧に焼き締め、使い手が日々の暮らしの中で育てていく。炊峰土鍋は、ご飯を炊く時間そのものを、毎日の楽しみに変えてくれる、日本の道具です。
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・火を止めても炊き上げる、蓄熱性の高い肉厚構造
・吹きこぼれにくく、旨味の泡を鍋に戻す縦型形状と穴構造
・何十回、何百回炊いてもこびりつきにくい、独自調合の釉薬
・最高1250℃で約20時間かけて中心まで均一に焼き締めた、佐賀・有田の手仕事
・第三者機関の味覚分析で、15万円クラスの高級炊飯器と同等以上という結果
といった特長を備えた、タシナムの炊飯専用土鍋です。
毎日のごはんを、最高峰のふっくら美味しい一杯に。
そんな土鍋を探している方は、ぜひタシナムの炊峰土鍋をご覧ください。
