Article: 蒸美椀(むすびわん)|岐阜・土岐の窯元が語る、毎日に寄り添う器づくり
蒸美椀(むすびわん)|岐阜・土岐の窯元が語る、毎日に寄り添う器づくり
タシナムの「蒸美椀(むすびわん)」は、岐阜・土岐の窯元で一つひとつ手仕事で仕立てられる、美濃焼のお椀です。
タシナムが目指したのは、レンジ調理に美味しさと美しさをもたらす、これまでにない超高機能お椀。
味気ないレンジ調理が、蓋を開けた瞬間、湯気が立ちのぼる上質な蒸し料理へ。
そのまま食卓に出せて、余れば蓋をして冷蔵庫へ。おひつとしても使える、蒸す、盛る、保つ、三役をこの一椀に託しました。
蒸美椀(むすびわん)の製作に携わる岐阜県土岐市の窯元
レンジで蒸せて、そのまま食卓へ。毎日に寄り添う、土岐の蒸し器
蒸美椀を支える、伊賀の土と職人の手仕事
ーー 明治から五代続く窯元として、どのような歴史をたどってきたのでしょうか?
明治28年、1895年に、ここ岐阜県土岐市の定林寺という町で、私の先祖が窯元として創業しました。この土地自体は、安土桃山時代から窯があった場所で、江戸時代に途絶えた時期もありましたが、明治になって再びスタートし、今に至るという流れです。
明治から五代続いている窯元というのは、周りにも少なくなってきています。正直なところ、親から「継いでほしい」と言われていたわけではないんです。
むしろ「好きじゃないとできない仕事だよ」と、ずっと言われていました。
ーー それでも、ご自身で継ぐことを選ばれた理由は?
この土地で、なぜ自分が五代目になるのかなと考えたときに、この産業自体が、このままだとなくなっていってしまうという危機感もあったんですよね。自分自身のアイデンティティや、この先どうしていくかを考えた上で、どうせやらせていただくなら、また違う分野の器作りがしたいという思いがありました。自分自身が「欲しいな」と思える器を、自分でつくっていき、今は、雑貨屋さんに直接届けたり、調理にも使えるような器だったり、そういうものづくりを実現できるようにやっています。

ーー タシナムから「レンジで使える焼き物を作りたい」と最初にご相談があったとき、どう思われましたか?
タシナムさんは、お会いした最初の段階から、ものづくりをしている人間に対して、本当に真摯に向き合ってくれる方だな、という印象がありました。
商品ページなども、つくっている職人の話をきちんと届けようとしてくれていて、つくり手が直接お伝えするよりも、間に入って、使う方に思いを伝えてくれる、そういう姿勢を感じていたので、お話をいただいたときから「ぜひやってみたい」と思っていました。
ーー 蒸美椀に使っている土について、教えてください。

うちで使っている陶土は何種類かあるんですが、蒸美椀に使っているのは、三重県・伊賀から取り寄せている土です。
伊賀は、土鍋をつくるのに使われることの多い地域で、粘土同士の粒子の間に隙間があって、空気や水分が通りやすい構造になっています。
この土で器をつくると、お野菜から出る水分などを器が吸ったり、放出したりしてくれて、中で蒸し器のような状態をつくれる。その特質を十二分に活かすために、わざわざ伊賀から取り寄せています。
ただ、土岐の周辺で伊賀の土を使う窯元は、あまりいないんですよ。
取り扱いが難しい素材ではあるのですが、職人にもしっかり覚えてもらって、今は安定してつくれるようになっています。

レンジで蒸せて、そのまま食卓へ。毎日に寄り添う、土岐の蒸し器
ーー つくる上で特に難しい工程はどこですか。
この波打った水捌け口の窪みは、機械だけでは作れません。一つひとつ、最終的に職人が手で形を整えていく以外に方法がないんです。
蒸美椀に使っている土は、粒子が比較的粗い素材なんですが、これが調湿機能を生んでくれる分、表面に石が出やすくて、ザラつきが目立ちやすいんです。普段の器づくりでも、口が当たる縁の部分は、絶対にザラつきを抑え込まないといけない、というのが決まりなんですね。

蒸美椀は、あえて口元を大きく波打たせているので、エッジが立つ。そうなると、よりザラつきが目立ちやすくなるんですよ。
そのざらつきをどうきれいに抑え込みながら形作るか。指先の感覚で、一つひとつ違うザラつきを察知して、その都度抑え込んでいく。これが、職人の技術として一番重要になってきます。
一つひとつ手作業ですから、同じ蒸美椀でも、波の形が少しずつ違う。それが、手仕事の蒸美椀の良さでもあると思っています。
ーー 釉薬は白と黒の2色がありますが、それぞれ違うものを使っているのでしょうか?
そうなんです。白(生成)と黒(墨)では、釉薬も焼き方も変えています。
生成の方は、見ていただくと、火が入って少し焦げたような風合いや、ムラというよりも"土味"が出るような仕上がりになっています。マットな白の釉薬を使って、あえて素材の土感がよく分かるようにしました。 鉄分が黒くポツポツと表面に見えるのも、土自体が持っている鉄分が出てきているもので、ほっこりするような素朴な雰囲気にしたかったんです。眺める場所によって釉薬の流れ方が少し違ったり、毎日使っても飽きが来ないような風合いを意識しています。
墨の方は、生成よりも温度帯の低い場所で焼き上げます。 黒い釉薬は温度が高いところで焼いてしまうと、マットさが消えて光沢が出てしまったり、色が抜けてしまう可能性があるので。同じ窯の中でも、温度の低い位置を選んで焼いています。その分、黒の方が釉薬の密度が細かくて、生地にしっかり入り込んでいる感覚があります。
日常に寄り添う、飽きない器を
ーー 田中さんご自身は、蒸美椀をどんなふうに使われていますか?
やはり蒸し野菜はよくしますね。ブロッコリーとか、今の時期だと新玉ねぎもいいですね。
新玉ねぎは丸ごとそのまま蒸せるんですよ。蒸美椀の中に入れてレンジでチンするだけで、すごく甘くなるんですよね。それにちょっと鰹節と、醤油やポン酢をかけて食べたりするとおいしいですよ。
真ん中だけ少しくり抜いて、他の具材を入れて蒸すアレンジもできるので、楽しいなと思います。
あと、個人的にお酒を嗜むので、枝豆を蒸美椀の中に入れて、塩をパパッと振って、蓋をしてレンジでチンすると、簡単に蒸し枝豆になるんです。
冷凍の枝豆も、普通にチンするより蒸美椀でやった方がふっくら、もちもちになります。
蓋がそのままお皿になるから、食べた後の殻入れにもなるんです。
ーー 最後に田中さんが目指す器づくりについて教えてください。
ずっと大事にしているのは、「毎日日常に寄り添って、飽きない器」ということなんです。
派手なものではなくて、毎日使っても、ふと眺めたときに「いいな」と思える。そういう器をつくっていきたいです。
自分たちが作ったものって、自分たちの子どものような感覚になるんですよ。
だから実際にお客様の手元に届いて、楽しんで使ってもらえたら、本当にこの子も嬉しいだろうな、と。親の気分になりますね。

レンジで蒸せて、そのまま食卓へ。毎日に寄り添う、土岐の蒸し器
道具は、毎日のなかで育っていく

蒸美椀は、レンジでそのまま使える、軽く扱いやすい器です。
けれどその"使いやすさ"の裏側には、明治から続く土岐の窯元の技術、三重・伊賀から取り寄せた陶土、そして波打つ口元を一つひとつ整えていく職人の手仕事があります。
毎日の食卓で、蒸し料理を、そしてご飯を。
レンジから取り出して、そのまま食卓へ。蓋を裏返せば、お皿にもなる。
派手な器ではないからこそ、使う度に少しずつ手に馴染み、暮らしのなかで育っていく。
職人が丁寧に作り、使い手が自分の暮らしの中で育てていく。蒸美椀は、そんな関係性をそっと支える、日本の道具です。
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蒸美椀(むすびわん)は、
- 三重県・伊賀の陶土を使用した、調湿性と保温力の高い素材
- 明治28年創業、岐阜・土岐の窯元の職人の皆さんによる手仕事
- 一つひとつ職人が整える、波打つ口元の水切り構造
- レンジ・オーブン・直火にも対応
- 蓋をそのままお皿として使える
といった特長を備えた、タシナムを代表する美濃焼のお椀です。
毎日のお料理時間を、快適に美しく整えたい。
そんな方は、ぜひタシナムの蒸美椀をご覧ください。